ACM Siggraph 2004 メモ
(2004年8月7日〜12日、米国ロス)
皆様
シーグラフ見学は、今年で、7回目(1998年から)です。早いもので、10年間のパスポートは、あと2回で期限切れです。さて、以下、今年のシーグラフ2004のメモです。
【日本8月7日】渡米
- 成田空港
- JALカウンタで、チェックインするときに、預け荷物の検査があった。中を開けて、...。
- 今年のこの時期としては、出国手続きの人の列は、少々、混んでいたとも感じた。この時期、TVニュースでは、帰国ラッシュの話題が出ているのも、何か早い感じだ。
【米国8月7日】
- 米国ロサンジェルス空港
- 入国審査は、かなり混んでいた。でも、指紋と顔写真を採られて列が長くなっている訳でないので、単に、人が多い。日本人は、10月から実施とのこと。あと、遠くの列に、AJ氏(OLM)が並んでいるのを見かけた。
- コンベンションセンタ(会場)
- いつもは、ホテルと会場を結ぶシャトルバスが運行(17:30)してから、それに乗って、会場へ行くのだが、時間が少々あったので(16:00)、歩いて行くことにした。最初、方向を間違えて、スペイン語の響く、商店街で出てしまった。少々、びびって、引き返して、大通りに沿って、会場へ。
- コンベンションセンタの隣で、XGAMEと称して、スケートボードの大会が、開催されていました。もう、ほとんど、空を飛んでますね。
- 会場のレジストレーションコーナ(18:00だけど17:30に)で、配布物を受け取った。今年も、配布物は重かった。今年は、DVD-ROMで、3枚組。この他に、紙の論文誌など数冊。
- 偶然、AJ氏と、KM氏(シリコンスタジオ)と会った。
- ホテル
- 今年のお宿は、Westin Bonaventureです。ガラス張りの4つの等が特徴的です。税込みで、一泊183ドルと、インターネット接続が、1日12.9ドルと、少々、出費も多かった。
- 夕食は、ホテルの飲食コーナで、インド料理のベジタブルコンボ、粗雑な味だった。日本人には、量は半分で良さそうだ。
【米国8月8日】初日
ホテルを7:25AMに出て、シャトルバスに乗り込む。朝飯は、いつもの会場のカフェテリアで、コーヒー(スターバックス)とクリームチーズを付けたベーグル。
- Sketchs: Artistic Depiction
- 題目: Mosaic for Stackable Objects
発表者: Jin Wan Park
メモ: フォトモザイクで、コインや、人姿などで、ハッチングして何らかのイラストを描く。丸でない形状では、回転しても、画像が変わらない余白があるので、その部分を回転変換の対象から外して、負荷を軽減するなど。
- 題目:Strokes for Drawings Using Illuminated Paper Surfaces
発表者: Kyoko Murakami, Reiji Tsuruno, Etsuo Genda
メモ:紙の質感をキャプチャして、12種のテクスチャ画像を作っておき、ストロークへタイルペイントすると、本物に近い質感が実現できる。サンプルは、画面上、タブレットを使って、画用紙へパステルで絵を描く。質問者も比較的多かった。
感想:セル画のエッジ線へ適用した場合、変な周期的パタンや、連続性が認識され得な
いか?
- 題目:A Viscous Paint Model for Interactive Applications
発表者:William Baxter, Yuanxin Liu, Ming C. Lin
メモ:マニュプレータタイプの3Dポインティングデバイスを使って、3次元空間上にキャンバス、筆、パレットを実現して、マニュピュレータを使って油絵を描く。ブラシとキャンバスの間の絵の具ののりは、流体のストークス方程式の近似式で、ボクセル手法でシミュレーション。紙のでこぼこは、スカラ−関数で表現。絵の具の上塗りは、非線形の方程式を適用して、上塗り後の色を決定。
感想:油絵の絵の具(粘性流体)へストークス方程式を適用、ここまでやるか?
- 題目:Automatic Image Retargeting
発表者:Vidya Setlur, Saeko Takagi, Ramesh Raskar, Michael Gleicher, Bruce Gooch
メモ:モバイルの小さな画面に、撮った写真に写るものを、抽出し、再スケーリング、再配置して、巧くおさめる。Mean-Shift Image(画像を特徴づける部分)を検出。この画像から、実際に、被写体となっている部分を元画像から抽出。これは、泳いでいるものを検出するアルゴリズムや、顔を検出するアルゴリズムなど既に、色々なものがある。元画像から、被写体を除いた背景画像を生成(被写体が抜けた部分は補完)し、実際の画面合わせてスケーリングする。スケーリングした背景へ、適切なスケーリングをした背景画像を、適切な場所へ配置して、出来上がり。
感想: 背景からパースが読み取れるような場合、被写体との違和感がある。
- Sketchs: Sketchy Sketches
- 題目:Tweaking stylized light and shade
発表者:Ken Anjyo, Shuhei Wemler
メモ: 3DCGから変化した2Dセルアニメのスペスペキュラーの動きを、リアルな計算結果から、
アニメ風な動きや形状へ補正する。
感想:同じアナロジで、陰やシワにも適用できないのかしら?
- 題目:Sketch Interface for 3D Modeling of Flowers
発表者:Takashi Ijiri, Takeo Igarashi, Shin Takahashi, Etsuya Shibayama
メモ:東京大学の五十嵐先生のテディーの機能も備え、平面のビュープレーンをキャンバスにする以外に曲面の設定ができる。これによって、草花の茎の3Dモデルや、葉や花びらのモデルを感覚的な操作で、実現できる。
- 題目:SketchPose: Artist-Friendly Posing Tool
発表者:Brendan Duncan, Mark Swain
メモ:画面上のマウス操作で、描いた曲線に、スケルトンをフィットさせる。2D系のアーティストには、感覚的に使えるツールかも。
感想:タコのように足がたくさん有るときに、便利そうだ。Alias Maya Completeにも標
準装備してくれるとうれしい。
- 題目:Making The Leap: Cross-training 2D Artists into 3D
発表者:Matt Elson, Walt Sturrock
メモ:約157名の2Dアーティストを、3D対応可能なアーティストへ教育できた。教育は、インスティチュート化して対応。写真を見ると、かなり良い施設。ディズニの方針として、全面、フル3Dへ移行。移行にあたって、可能な限りトラディショナルなアーティストを残す。心理的な側面(将来への心配)もサポート。
- 昼飯: AJ氏、YG氏(OLM)、KM氏、KN氏(TBS)と、フィガロア・ホテルの隣のイタめし屋で、昼食。
- Alias User Group
昼食後、KN氏とユーザ会の会場へ歩く。会場で、KW氏(TBS)と会った。
- 参加者には、RyanのTシャツを配られた。
- シュレック2のメーキング: 雨のスプラッシュ、箱から多数の鳩が飛び立つ、白い息、
魔女の大鍋から白い煙が流れ出る、火の玉、猫のフラッシュダンス、など
- NVIDA製品紹介(FX4000SDIなど)
- DNAi.org 紹介(MayaのPaint Effectsのユーザ事例)
- MAYA MASTER表彰
- NAUGHTY DOGのTAK3,JAK IIIなどの紹介
- Aliasの新サポートサビス紹介(PLATINUM, SILVER, BRONE)
- AIT製品紹介RDION X800とデモのメーキング
- Kaydara社をAliasが買収(米国8/8):このユーザ会での発表10分前に契約成立したとか。
- Alias SketchBook Proのユーザ事例(デザイナ?)
- HPプレゼン(EM64T)
- Ryanメーキング
- ロードオブザリング(リアルスキン、群衆)
- Aliasサインエンティストの技術紹介
概要:波紋、煙、被弾の爆発で吹き飛ばし、ベロ(軟体)でキャンディをなめる、ブラシ、カーテン、コウモリのはね、鳥の羽根、髪の毛、太さの異なる長いものを巻き取る、風になびく髪(風の流れのシミュレーション)、ポニーテイル、帆船の旗と帆のシミュレーション(風の方向と強さを調節できる)などの実演があった。
感想:なかなかユニークなデモだが、暴走して長い。
- パーティー:TK氏(Alias社)とも会ったので、2人を紹介した。
【米国8月9日】
朝昼晩は、会場のカフェテリアで取った。
- Papers: Graphics is Fun
- 題目:Graphics Gems Revisited: Fast and Physically Based Rendering of Gemstones
発表者:Stephane Guy, Cyril Soler
メモ:宝石の輝きのシミュレーション。通常のレイトレからの差は、収差(虹色へ分光)が
起きる部分だが、それが起きる部分は、画像全体からみると、かなり少ないようだ。
感想: 私も、宝石のしろうとには、区別がつかない
- 題目:Band Moir Images
発表者:Roger D. Hersch, Sylvain Chosson
メモ:透明なシートに細かいスリッドをプリントして、カラーの文様がプリントされた地に、そのスリッドを重ね合わせると、地の模様とモアレを起こすが、その結果、テキストなどが見えるようになる方法。スリッドは、直線だけでなく、曲線のサンプルもある。
感想: 何に使うんじゃという感想だけど、テーマがファンだからね。でも、個人的には興味深々。
- 題目:Audio Rendering of Complex Virtual Environments
発表者:Nicolas Tsingos, Emmanuel Gallo, George Drettakis
メモ:3DCGへの音源位置(CGで作った車や、川などの音)を反映する仕組み。近づけば大き
く、遠ざかれば小さく。
- 題目:Making Papercraft Toys From Meshes Using Strip-based Approximate Unfolding
発表者:Jun Mitani, Hiromasa Suzuki
メモ:スムーズなペーパクラフト。ごつごつのポリゴンのペーパクラフトでなく、比較的スムーズなものが作れる。
感想: 安ければパッケージソフトで売っていれば買うかしら。「はねっこ」の3D版( http://hanekko.jp )でもやってみたいかな。
- アニメーション・シアタ
- インパクトのある映像の傾向は、残酷&狂気の中の正気でしょうか。今回、映画では、ヘルボーイ、マトリクスなど、商用の映像クリップも多かった。
- キーノート
- ACMシーグラフの新サービス、DVD化など
- 功労者紹介、論文表彰
- など
- ポスタビュー
今年は、パネルでの技術紹介コーナが有った。セルアニメ制作関係で幾つか面白いも
の数件。
- 題目:SilF : A Sketching Tool for Cartoon-Like Pseudo-3D Illustrations Based on
3D Outlines
発表者:Kota Yonezawa, Shin Takahashi, Etsuya Shibayama
メモ: 「これは、昨日の草花を作るツールと同じプラットフォームjを利用しているもので、被写体の向きをヒントで与えて輪郭を描いて行くと、その間の形状を補完してくれるもののようでした。」と思ったのですが、ポスターの前に、人がいたので、確認したとろ、補完はできないそうです。最初のビューで、手書きで入力した線(ベジエ曲線)に対して、向きを変えながらそのビーでの頂点(ベジエ曲線の)3次元位置を修正して行く、やり方のようです。結局、2Dの絵を描くようには、簡単でないことが判明。もっと2Dの絵を描く感じでできないか要望しておきました。
感想: なんとなく使えそうな感じがします。ほんとうに絵が描き安いのかが、生死の境目。
- 題目:Real-Time Cartoon Rendering of Smoke
発表者:Morgan McGuire, Andi Fein, Colin Hartnett
メモ:アニメで良く出てくる、煙のアニメーションを生成する技術。
感想:これは、リアルタイムであるところが新しいのかな。
- 題目:Cartoon Hair Animation Based on Physical Simulation
発表者:Eiji Sugisaki, Yizhou Yu, Ken Anjyo, Shigeo Morishima
メモ:これは、フォトリアルの分野で普及している髪の毛のシミュレーション技術を、アニメ・キャラの髪の毛のアニメーション付けに適用する技術
感想: これも、2Dから3Dモデルを作れれば、かなり便利に感じます。ポスタの前に、杉崎氏がいて、少し説明してくれました。
- 題目:Animating Hand-drawn Sketches
発表者:Yutaka Ono, Bing-Yu Chen, Tomoyuki Nishita
メモ: 絵だけみていたので、内容不明ですが、何か面白うそうな感じでした。
- アートギャラリ、イマジェンシ・テクノロジ
今回も、色々なものが置いてありましたが、モーションキャプチャと連携する泳ぎの仮想現実感など大物が割と置いてあった。でも、今年は、意外性のある作品はなかった。
- Sketches: I've Seen Fire and I've Seen Rain
- 題目:A Physically Based Model of Ice
発表者:Theodore Kim, Michael Henson, Ming C. Lin
メモ: 雪の結晶の成長過程をシミュレーション。グラスに霜が付いて凍るシーン、車のフロントガラスに霜が付いて凍るシーンを紹介。
感想: 何とも、本物のようだ
- 題目:Rendering Falling Rain and Snow
発表者:Niniane Wang, Bretton Wade
メモ:マイクロソフトのフライトシミュレータ2004で出てくる雨のシーンのメーキング。
- 題目:Stormy Weather
発表者:Willi Geiger, Robert Hoffmeister, Masi Oka, Simon Eves
メモ:映画「バン・ヘルシング」の嵐のシーンのメーキング。3D雲のシミュレーション、雷のシミュレ−ションなど、多々のシミュレーションの合成でできている。
感想: なんとも重厚長大な映像制作
- エレクトリック・シアタ
- 全般: 今回は、冒頭を紹介して、長編は、どこで放映してますというクリップが目立った。最初のクリップは、日本のイノセンスでした。次は、シュレック2、...。あと、下写真は、余興のゲームで、会場を跳ねているボールがトラッキングされ、スクリーン上の緑色のボールとして表示される。それを、スクリーン上の黄色いボールに当てると、それが消えて、点数になる。
感想: デイ・アフタ・ツモローの津波のシーンのメーキング(デジタルドメインだったかしら?)が有ったが、これもかなりの重厚長大さで驚いた。
【米国8月10日】
朝昼は、会場のカフェテリアで取った。晩は、ホテルのパンダの中華で済ませた。
- Sketches: Design and Visual Communication
- 題目:Controsenso, But Not Too Much: Digital Artifacts to Ease Communication and Exchange with Seeing-Impaired People
発表者:M. A. Alberti, A. Brogi, P. Trapani, L. Dusio, M. Garcia, S. Knobloch
メモ: ビデオに映る壁やボード、ベンチの背もたれなどの平面に、文字情報をスーパーインポーズで入れて行く手法。
- 題目:Ecce Homology
発表者:Ruth West, Jeff Burke, Cheryl Kerfeld, Eitan Mendelowitz, Thomas Holton, Ehtan Drucker, Weihong Yan
メモ:マルチユーザのハンドモーショントレースを使って、それに反応するように、壁に、DNAシーケンスを白黒で可視化したシンボル(顕微鏡で見る遺伝子に近い固まり)を、幾つか表示させる手法。
- 題目:Artifacts of the Presence Era: Visualizing Presence for Posterity
発表者:Fernanda Vi使as, Ethan Perry, Judith Donath, Ethan Howe
メモ:音声波形の形状に映像を切り出し、それを積み上げ、地層のように重ねて行く手法。
感想:出来上がったものは、なんだか判らない。
- 題目:Symbol Mall
発表者:Jirayu Uttaranakorn, Daryl H. Hepting, Sheila Petty
メモ:電子モールの商品選択を、画面上に表示するシンボルを選ばせて、ブラウジングする手法。この手法の方が、消費者にフレンドリーとか。
- Identifying & Sketching the Future
- 題目:RFIG Lamps: Interacting with a Self-Describing World via Photosensing Wireless Tags and Projectors
発表者:Ramesh Raskar, Paul Beardsley, Jeroen van Baar, Yao Wang, Paul Dietz, Johnny Lee, Darren Leigh, Thomas Willwacher
メモ:これは、米国三菱電機の研究所かな。光を当てると電波で応えるタグ。応用として、ハンディプロジェクタで照らして、タグの有る部分にスポットライトを当てるような制御。タグの内容によって、スポットライトの色を変えるなどの制御が可能。また、複数のタグを使う場合では、板の4頂点にタグをつけると、その板にフィットするように映像を映すなどオーギュメンテッド・リアリティーへの応用ができる。
感想:なにやら面白そうだが、ものの陰にあるタグは、検出できないので、その制約をふまえたアプリが有るかどうか。
- 題目:VisualIDs: Automatic Distinctive Icons for Desktop Interfaces
発表者:J. P. Lewis, Ruth Rosenholtz, Nickson Fong, Ulrich Neumann
メモ:これは、デスクトップのアイコンを整理するため、ファイルに、Visual IDでつけて整理することを提案。このIDは、例えば、ファイル名をシードにしたハッシュ値などもある。OSでサポートすべきといっていた。
感想:必ずしも、便利ではない感じもした。
- 題目:Motion Doodles: An Interface for Sketching Character Motion
発表者:Matthew Thorne, David Burke, Michiel van de Panne
メモ: 画面上にラフに描いたパペット人形(横面)が、画面上にラフに描いた線に沿って、ジャンプや、宙返り、スキップなど行う。
感想: 子供にうけそうだ。セサミストリートで出てきそうなクリップができる。
- Sketches: Creatures of "Van Helsing"
- 題目:Be-heading a Vampire: Combining 2D and 3D Elements with On-set Motion Capture to Create the Vampire Brides in Van Helsing.
発表者:Doug Griffin, Jeff Saltzman, Jeff White, Kevin Wooley
メモ:バンパイヤ(女)の飛行シーンで、女優の実写(頭)と、CG(体)の合成に、クロマキーかつ、モーションキャプチャと連携して、合成を行う。
- 題目:Jiggly Bits and Motion Retargeting: Bringing the Motion of Hyde to Life in Van Helsing with Dynamics
発表者:Ryan Kautzman, Andrea Maiolo, Doug Griffin, Andy Buecker
メモ: ウルフ(狼男)が倒れるシーンで、狼男(CG)の体の弾力性を、ラバー差材で、シミュレーションしてリアルに。
- 題目:Posing as a Werewolf: The Creature Matchmove Tool Used for "Van Helsing"
発表者; Chris Monks, Marla Newall, Cary Phillips, Nicolas Popravka, Jason Smith,
James Tooley
メモ: ウルフの変身シーンで、実写(俳優)の動きと、CGの動きを同期(重ね合わせる)させるための手法と、ツール。
感想;これも大変そうだ。
- 題目;There's More Than One Way to Skin a Wolf: Wolf Transformations in "Van
Helsing"
発表者;Nigel Sumner, Ari Rapkin, Steve Aplin, Andrew Cawrse, Lee Fulton, Tony Pelle, Philip Peterson, Eric Wong
メモ:ウルフの変身シーンで、人の皮を破って、中からウルフが出てくるような動きで、表皮が引きちぎられてなくなって行くようにCGを合成。また、人間に戻るシーンは、毛が抜け落ちて形状が人間に戻るようにCGと合成。
- シーグラフ東京リセプション
- かなり大人数が集まりましたが、珍しいことに、食べ物があまりました。会員が少なくなったというのは、ほとんど海外に出て行ってしまったのかしら。
- NVIDAのパーティーに、KN氏と、お邪魔しました。大音響のラップ音楽と、ただ、酒を食らう集団とかしてました。
- 展示会
今年は、スペースが3分の2程度に縮小していました。とりあえず、NVIDA, ATI, NewTeK, Avid, Alias, INTEL, AMD, APPLEなどは、例年通りのスペースで展示していました。どうも、個々のブースはそれなるにスペース縮小してしるそうですが、あまりそれを感じませんでした。
- Avid SiftImage XSIが、かなりの値下げ(最小構成で、500ドルをきる)。この値段なら買うかな?
- Pixar が、Maya専用RenderManをリリース予定。これはいくらするのか興味深々。ユーザ会で何か、発表があるのかしら、
- ノンフォト関係のツールでは、SketchUp(セル画風)とfinalToon(どちらかと言うとペンと水彩画風かな)を見かけた。
- AMDブースで、インディゾーンのTN氏に会った。
【米国8月11日】明日12日が最終日
朝昼晩は、コンベンションセンタですませた。
- Sketches: Art-driven Modeling
- 題目: Column Modeling
発表者:Esan Mandal, Vinod Srinivasan, Ergun Akleman
メモ:オリエンタルな建造物の壁のモチーフや、網状(ハニカム風)の水着の布表現、透かし彫り風、ワイヤーモデリングなどを作る専用ツール。多面体(ポリゴン)のエッジを円柱として生成して、それぞれの頂点で、ジョイントを自動生成。
- 題目: Cords: Keyframe Control of Curves with Physical Properties
発表者: Patrick Coleman, Karan Singh
メモ: Ryanのシーンで、髪の毛が、帯のようになって、体に巻き付くシーンで、巻き付かせるための手法
- 題目:Modeling Expressive 3D Caricatures
発表者:Ergun Akleman, Jon Reisch
メモ:似顔絵の抽象化のサーベイと、目鼻口を特徴づける固まりを配置して、メタボールのように結合することにより、3D版の似顔絵を実現。
- Papers: Video Based Redering
- 題目:Video Tooning
発表者: Jue Wang, Yingqing Xu, Heung-Yeung Shum, Michael F. Cohen
メモ:ビデオに映した被写体をセルアニメ風に変換。Mean Shiftで被写体を抽出し、セグメント分割。これは、空間方向と時間方向で行える。抽出したセグメント(例えば、ズボン)に対して、それを囲む多角形で、キーフレームを作成し、キーフレーム間の補完は、時間方向のMean Shiftを用いて推定する?
感想: 結局、手作業かしら。
- Papers: Shape Analysis
- 題目:Shape Matching and Anisotropy
発表者:Michael Kazhdan, Thomas Funkhouser, Szymon Rusinkiewicz
メモ:2つのモデルが似ているかを評価する場合、モデルの頂点座標の相互距離を計算するだけでは、不十分で、それぞれの回転モーメントでスケールを規格化してから相関を求める。但し、モデルの向きが異なっている場合は、まだ、対象外。
- 展示会(追加)
- DNPブース: ガラス板のスクリーン(ブラックタイプ(新製品、輝度が相対的に高い)と、透明フィルムタイプ(良くコンビニで使われているもの))、車の色シミュレータ(販売店向け)。透明タイプのスクリーンは、オーギュメンテッド・リアリティ分野で、幾つか利用方の発表(Sketches)があった。
- GForce Q FX 4000 が、展示会特別価格約1,700ドル
- Sketches: Art and Architecture
- 題目:Superimposing Pictorial Artwork with Projected Imagery
発表者:Oliver Bimber, Franz Coriand, Alexander Kleppe, Erich Bruns, Stefanie
Zollman, Tobias Langlotz
メモ:原画のキャンバスの上に、フィルムスクリーンを置いて、外からプロジェクタで色補正の画像を映す。また、操作パネルを介して、キャンバス上の位置を指定すると、その場所の説明が、原画の上の映し出される。
- 題目:Abstracting design, designing abstractions... Use of computer graphics in early stages of architectural design
発表者:Andrzej Zarzycki
メモ: 建物の設計時に、3Dモデルを使えば、ライティングなどの配置を工夫して、印象的な見栄えがどうなるか、早い段階でプレビューできる?
- 題目:Unlighting the Parthenon
発明者:Chris Tchou, Jessi Stumpfel, Per Einarsson, Marcos Fajardo, Paul Debevec
メモ: パルティノン神殿のフォトリアルな3D化。3Dレーザスキャナで、神殿をキャプチャ、質感には、グロバル・イルミナンスを適用。写真と見比べながら、同じに見えるようになるまで、修正。
- 題目:Photometric Stereo for Archeological Inscriptions
発明者:Per Einarsson, Tim Hawkins, Paul Debevec
メモ:壁のくぼみや、レリーフの形状と質感のキャプチャに、左右に、白黒の色見本タイルとブラック半球(光源をスペキュラの位置を写して、光源位置を算出するため)を貼った板を置いて、光源位置を変えながら何枚か撮影し、その画像から、形状と質感を算出することで、安くできた。
- Sketches: Effects Omelette
- 題目:From the Ground Up: Building a Machine City for Matrix: Revolutions
発表者:Charles Rose
メモ:マトリクス・リボリューションのロボット・シティのメーキングで、部品の共用ライブラリを活用。
- 題目;Fireballs in Shrek 2
発表者:Arnauld Lamorlette, Matt Baer
メモ:シュレックのファイヤーボールの作り方。シュレック1のドラゴンの吐く炎、新システムとして、燈台の炎、炭の炎を表現。シュレック2の火の玉の表現。
- 題目:Procedural Petticoats in Shrek 2
発表者:Matt Baer
メモ:妖精のゴッドマザーのレイヤード・ドレスの布シミュレーションで、布自身がクロスするエラーが出るので、スカート最外周と、最内周の間の空間を幾つかの円で仕切って、その円を基準に内側のスカートのレイヤを決定。
- 題目:Making of The Superpunch
発表者:George Burshukov, Kody Sabourin, Masuo Suzuki, Oystein Larsen, Tadao Mihashi, Ken Faiman, Scot Schinderman, Oliver James, John Jack
メモ: マトリクス・リボリューションの最後の殴り合いで、ネオのパンチでスミスの顔が
歪む表現。原作に忠実に。年度で、モデルを作成
- Pixar User Group
人の集まりは、例年並み。
- 新製品PrenderMan for Maya(Mayaに組み込まれているのと同程度に使えるが、組み込まれたシェーダのみ)
- あとは、レイトレーシングやグローバル・イルミネーションへのサポート機能の説明
- ユーザの活用事例としては、溶ける氷など、マニヤックな使い方が数件紹介。
- 今回は、参加へ、缶に入った透明なウォーキング・ポッドをプレゼント。レアーものだ。
- Siggraph リセプション
Pixar User Groupが時間を押して、不参加。チェケットがもったいなかった。
【8月12日】最終日
今日8月12日で、シーグラフ2004は閉会しました。発表された方、出展された方、誠に、お疲れさまでした。
- Sketch: Art on the Small Screen
- 題目:The Art of SSX3
発表者:Henry LaBounta
メモ:プレステーション・ゲームSSX3のメーキング。スノーボードで雪山を滑走。雪山の美しさブルーシャドー、朝日、夕日、山肌などなどを、ゲームのシーンへ。エキサイトな滑空シーン。新キャラクタのジャンピング・ポーズの紹介。
感想:確かに美しい。質問には、ハイビジョン化の声も。
- 題目:Quality Issues in Asset Creation on a Massive Scale for EverQuest II
発表者:Stuart Compton
メモ:EverQuest IIのメーキング。昆虫(飛ぶ)、動物、甲殻類、モンスタのリアルタイムCG。世界観、景観、建造物、アイテムなど紹介。
感想:これも奇麗の内かしら。
- 題目:An efficient production pipeline used to create 52 full 3DCGI anime episodes
発表者:Ken Suzuki, Yoshishige Matsuno, Shigeru Horiguchi, Hiroshi Arima
メモ:SDガンダム・フォースの制作行程の紹介。カツーンネットワークでもTV放映。制作システムの紹介。モーションキャプチャによるキャラのリアルタイム振り付けの専用ツール。GPU用のカスタムシェーダも幾つか開発。サテライトオフィスとのデータ共有。
感想:でも、モーションキャプチャで振り付けか。なかなかしんどそう。
- 題目:Workflow and CG Tools for the Cartoon TV Program "Monkey Turn"
発表者:Satoru Yamagishi, Megumi Kondo, Hiroshi Uchibori, Ken Anjyo
メモ:YG氏(OLM、元日立)の初発表。アニメ「モンキーターン」の制作行程の紹介。レースシーンのCG制作ツール(モータボートの動き、水しぶき、奇跡、波のアニメーション)。
- Sketch: Augmented Reality
- 題目:Inside-Out Interaction: An Interaction Technique for Dealing with Large Interface Surfaces such as Web Pages on Small Screen Displays
発表者:Daniel Fallman, Andreas Lund, Mikael Wiberg
メモ:現実的な条件では、PDAは画面が小さい。マウスを合体したPDA(スライド・コントローラ)を使って、平板(白紙)の上をなぞると、PDAの画面は、仮想空間のグローバル座標上の画像(大きなコンテンツの部分)を表示する。デモでは、新聞紙面。覗くような感じ。このためのPDAへアタッチできるマウスを作った。
感想:これは、少々、面白そうだ。虫眼鏡タイプのオーグメンテッド・リアリティ。
- 題目;Video See-Through and Optical Tracking with Consumer Cell Phones
発表者:Mathias M喇ring, Christian Lessig, Oliver Bimber
メモ:(コンピュータ+HMD)とPDAを比べて、相対的にPDAのパフォーマンスは高い。チャレンジは、ARM+Symbian OS 6.1の携帯電話(ノキヤ)使っみること。マーカ(xyz軸方向の色付きバー、色付き丸形シール)を検出する。マーカの場所に、車の3DCGを表示。
感想: もしかしたら、表示すべき内容を記録した2次元バーコードをマーカにできると面白いけど、これ過去にあったかなー。
- 題目:An Autostereoscopic Optical See-through Display for Augmented Reality
発表者:Alex Olwal, Christoffer Lindfors, Jonny Gustafsson
メモ:透過フィルムの投影スクリーンへプロジェクタで画像を投影して、現実世界に重ね合わせて、見る。デモは、現実世界の万能工作機のビットへ、位置情報などをオーバレイする。但し、このデモでは、作業者の目の位置は、固定。
- Sketch: Mixed Reality Applications
- 題目:The Body's Surface as a Multimedia Interface: Closed-Eyes Nonverbal Telehaptic Communication
発表者: William Meyer
メモ:基本的に目をつむって、音と頭への風や振動で、仮想空間を伺うようなシステムらしい。最初のプロトタイプは、風を当てる。2号機は、ヘルメットの中に、振動素子を等角度に仕込んだもの。仮想空間内の2者の位置を感じられる?
感想:あまり良くわからなかった。
- Sketches: Beautiful Things
- 題目:The Electric Sheep Distributed Screen-saver
発表者:Scott Draves
メモ:デモだけ見た。雲のようなふわっとしたフラクタル画像(カノニカルIFSアルゴリズム、)がつぎから次ぎへと変わって行く。キーフレームと、それぞれのコンポーネントをリンクしてフローグラフを作るエディタ。分散レンダリング。
- 題目:All This Useless Beauty - A 200 Megapixel Panorama
発表者:Anthony Santoro, Paul G. Kry
メモ:高さ3インチ幅が50フィートのパノラマ写真コンテンツの作り方。各向きの写真(1500枚)を合わせて行くステッチ)。地面の上下があると、それに伴って、被写体の映像にゆがみが起きる。映像で、制作行程も紹介。
感想:アーチギャラリに飾ってあったけど、良く作ったねー。ビデオカメラで撮って、自動生成したのかと思った。
私は、シンプルなものまでかな( 私のサイト )。
- Papers: Fixing Models
- 題目:Interpolating and Approximating Implicit Surfaces From Polygon Soup
発表者: Chen Shen, James F. O'Brien, Jonathan R. Shewchuk
メモ: ポリンゴンの近似手法。風船を膨らませるような感じに近似する。
感想: 何やら処理時間がかかりそうなやり方。
以上、5日間、今年も、エキサイティングでした。
明日13日に帰国の途に付き、日本へ14日に到着。翌日、趣味で、早朝から、コミケ66へサークル参加してます。起きられるかが、問題だ。サークルチケットが1枚余っているのが、もったいないかな。
【米国8月13日】帰国
- ホテル
- 8:30AMにホテルをチェックアウトして、タクシーで、空港へ。しかし、空港からホテルまで、約50ドル、ホテルから空港まで、約45ドルと、この値段の差は何なんでしょうか? あと、タクシーに乗って、初めて、シートベルトしめてといわれたのに、驚いた。
- 空港
- 空港では、まず、預け荷物のX線チェックした後、作業員がお客に返さず、お客と一緒に、カウンターまで同行する、厳重さ。チェックインを済ませて、朝食と取り、お土産を購入。ショップで、YG氏と会った。
- さて、ゲートへ行くための手荷物検査に、長い列ができていた。今回は、名刺入れなど、金属製のものを忘れなかったので、1度で無事通過し、ゲートに向かうと、TN氏(違う飛行)に会ったので、搭乗開始まで、雑談。
【日本8月14日】
- 空港
- 例年通り、変わりなく、入国手続きも終わり、関税申告のところでは、大きな買い物もしてないので、免税対象で通ったが、エロすぎるものを持っていないか確認を食らった。何となく、国内の若者向け雑誌の方がエロいとも思いつつ、持ってないので、無いと返答して、通過しました。
【あとがき】
- 今まで(ここ7回)を振り返ると、3次元CGの分野は、2000年までは、リアルタイムの粘性流体の表現など、当時まで困難(不可能)とされていた課題を解決するような派手な技術(手法)革新が続きました。これとは対照的に、2001年(21世紀)になってからは、それまで発見された技術(手法)の使い込みがなされ、色々な映画や、その他の映像へ適用され、より身近なものとなってきました。また、同時に、今まで、なおざりにされていた2次元CG分野や、リアル世界との連携分野(各種デバイス、コンピュータビジョン、オーギュメンテッド・リアリティなど)への適用も進み、その裾野を広げ、ユニークなアイディアが出てき始めいます。また、今回は、どちらかと言うと技術者でなく、アーティストの発表も目立っていました。
- 今回、映画メーキングの発表としては、シュレック2、デイ・アフタ・ツモロ、ヴァン・ヘルシング、アイ・ロボットが、目に付きました。
- ホテルは、やはり、コンベンション・センタに近い方が便利で良いかなと、再認識。来年も、ロサンジェルスなので、反省して、近いところします。来年も楽しみです。
以上
(C) 2004. Hirofumi Inomata