Siggraph2002ダイジェストダイアリー(2002年7月20日〜28日)
米国テキサス州サンアントニオにて
(1) 到着
空港の近くに、コンピュUSAを発見。でも、足がないので、行けそうにない。そういえば、サンアントニオ空港で、Alias|wavefrontの知人と、CTCのRenderMan担当の方と会いました。Aliasの方は、既に3週間米国滞在して、シーグラフ参加だそうです。無事にホテル(今回、ヒルトン)に到着。
(2) ホテル周辺の散歩
道路が走っている地上から更に下に水路があり、その両岸が歩道となっていて、その歩道にそって、観光客向けの飲食店やらブランド店が軒を並べている。しかし、蒸し暑い。
リバーセンター(ショッピングモール) 遊覧船乗場
(3) Siggraph配布物受け取り(会場)
フルカンファレンスで登録すると、予稿集、論文集、各種CD−ROM、論文発表参考DVD(前回までは、ビデオテープだった)がもらえる。ただし、シアターものは、付いてこないので、気に入ったら別途買う予定。今回は、会場の隣のホテルなので、なんとも便利。
コンベンションセンタ
(4) Siggraphグッツ
今年は、Tシャツは、暗い灰色、ポロシャツは、黒っぽい赤色です。
(1) 朝食
ヒルトンホテルの朝食ビュフェで、11.81ドルでした。メニューにないので、別のものと、間違えるところでした。
(1) COURSE: RenderMan in Production (全日)
午前中は、ベクトル解析などの基礎知識の説明から始まって、各種用語の説明で終わった。午後からは、各プロダクションでの適用事例(パールハーバ、スチュワートリトル2、エピソード2、モンスターインクなど)が紹介された。最近は、よりフォトリアリスティックを追及している模様で、イルミネーションやアンビエントなどかなり計算式が厳密になっているし、自己への影の写り込みなども含め、出来上がりも、実写とのなじみも、寸分も異ならないような出来あがりとなっている。まあ、最近で、実写に見えていても、すべてがCGという場合も多いので、余計、気がつかないもかも。
(2) SPECIAL: Yoda and beyond (2時間)
ILMのメンツが、スターウォーズ エピソード2のメーキングの一部を紹介。特に、ドロイドや戦闘機が破壊されるシーンや、ヨーダのライトセーバでの格闘シーン、衣服シミュレーションののメーキングが紹介された。衣服シミュレーションは、物理法則に従ったものであるが、数値計算で起きるパラメータの調整が難しそうで、試行錯誤も多そうな感じを受けた。また、人物(実写)とCGキャラクタ(ヨーダなど)との格闘の絡みシーンは、あうんの呼吸といった感じだが、実写を先に撮って、CGの方を当てはめる方法論だが、大枠、実写も、設計された動きを、演じさせて初めて、あうんの呼吸となる。
(1) COURSE: Non-Photo Realistic Rendering(午前)
前回の内容に、インターラクティブボクセルタイプのデモが増えてました。PC9台の並列処理で、2ftpの性能がでるそうです。今年は、Non-Photo関係では、論文発表とスケッチもあるので、新しい内容が更に増えそうです。途中で、OLMデジタルの知人に会った。あと、昨年、取材で来ていたアイラ・ラボラトリの知人。
(2) COURSE: Stuart Little 2 (全日の内、午後)
特に午後は、羽毛や羽のCGでの作り方の紹介がありました。小鳥と鷹で、3000本の羽があるそうです。羽は、1枚の詳細なモデルを使っているとか。昨年以前に、Pixarが、小鳥とアホウドリのCGアニメクリップを、Electronic Theaterに出して以来、目をみはる進歩ですね。あとは、RenderMan in Productionと同じ内容で、ビルディングのレンダリング方法など。RenderManも、3.8から3.9で、大分、高速になったようです。
(3) Fast-forward Paper Preview(夕方)
1件数分間のプレゼンテーションで、2時間ぶっとーしで、発表者が、発表内容をアピール。ぴったり終わる人もいれば、打ち切られる人も。とりあえず、これを聞けば、すべてが分かる? 終了後、東大の西田先生を見かけた。
(4) Open Reception (夜、Sunset Station saloon)
とりあえず、夕食ついでに、参加。知っている顔は、慶応大学の稲員先生?を見かけたぐらい。日本人同様、今回、中国、韓国系の方も多く、見分けもしにくい。
(5) グッツ購入
頼まれたグッツを購入。ただし、来年のTシャツはまだ、販売されていない。Siggraph Penですが、今年は、体のツボを刺激するバイブレーション機能付きでした。
(6) アラモ砦周辺散歩
今となっては、ホテルに囲まれ、ぽつんと立っている。ほとんど土レンガの建物で、風化途上といった感じです。米国のの歴史に興味がなければ、やはり見てもなんてことはない感じです。とりあえず、写真を撮りました。
アラモ砦正面 アラモ砦前広場
アラモ砦通路 アラモ砦裏井戸周辺
(7) その他
南部は特に、ホテルで、TVを付けると、カツーンネットワークなど、アニメ専門チャンネルがあって、パワーパフガールズ、ドラゴンボール、キャスパなどやってます。大人の時間帯は、お茶の間ドラマ風のアニメが延々と流されている。まこと君やくれよんしんちゃんのようなアニメは、当然、大人の時間帯の番組になるね。
朝、偶然、インディゾーンの知人、OLMデジタルの知人2、日立製作所の知人に会った。
(1) COURSE: Volume Graphic
CTスキャナーの結果解析のためのフィルターに関するコースでした。概論だけ、聞いて終わり。
(2) COURSE: Perfomance OpenGL
OpenGLプログラムミングで、性能を上げるための施策を紹介。pop/pushなどは便利だが、保存すべきパラメータは出来るだけ少なくするようにするなどの設計上の注意点を説明された。
(3) SKETCH: 2D Aesthetic in a 3D world
ディズニー、PDIなどのセルアニメーション制作やCGアニメーション制作における、2次元と、3次元の間のやり取りを紹介。ロジャーラビット3Dでは、筋肉システムの適用で、デーフォーメイションに対応したなどの紹介があった。
- 2D/3D Hybrid Character Animation on “Spirit”
- Shape-Based Caracter Animation
- Creating 3D Painterly Envirnments for Disney’s “Treasure Planet”
- Sketchy Rendering
(4) COURSE: Image based Modeling
3次元スキャナーに関するコースで、最初、日本人が発表。向きの違う画像数枚から、テクスチャーと、光源マップを生成して、3次元モデルに適用する方式の紹介。あとは、3次元スキャーナのキャリビュレーションの説明から始まる概要だったので、退散した。
(5) PANEL: Digital Human
いままでのCGで表現された人間相当の歴史たどり、議論してました。5分間しかいられなかったが、ちょうど、オーランドのエレクトロニックシアターで上映されたペンギンのダンスの紹介がされていた。
(6) COURSE: OpenGL 2.0
次期バージョンのOpenGLで、特に、Cライクのシェーダ言語がサポートされるようで、デモでは、ソースコードを目の前で変えて、表示が変わることを見せていた。今年の年末には、仕様がフィックスするみたいです。
(7) Electronic Theater
全体的には、技術よりも作品性で選定されているようで、1本あたりの尺も長い。この中で、映画向けの映像技術に関して、日本と、ハリウッドとの格差は、歴然と広がっていると感じた。方向性も大分、違ってきている。今年は、スチュアートリトルに始まって、リアルな建物のCG表現に重点が置かれているようだ。
(8) NewTek Party
混んでて断念、インディゾーンの知人と夕食。
(9) 展示会(初日)
大御所のメーカ(sgi, Intel, AW, 等)やプロダクション(ILM, PDI, 等)はいつも通りだが、その他は、少なくなっている。特に、セルアニメ制作ツールのメーカは、ほとんど無く、SoftImage/TOONSだけのようです。例によって、AnimationMasterが、セルアニメ風映像のデモしてますが、何か専用にエンハンスがあった分けでもないので、簡単に作れるものでないと思う。Adobeは、新バージョンPremier 6.5(現地では、誤解していて新しいバージョント気が付かなかった、CDROMのデモ版が入っていた。仕様は、米国アドビのHPで確認できる)の展示を出してました。あと、見たことのない製品としては、AlterCast?。
展示会場入口 Alias|wavefrontブース
Adobeブース NewTekブース
今回、日本人が良く目に付きます。学生が多いようです。米国と日本のビジネス意識とマーケット規模の格差は大分、大きくなっていて、日本人はどうするんでしょうね。
(1) 基調講演
前半は、主要メンバの挨拶。基調講演は、最後、面白いアイディアと技術に期待するとかいって締めていたような。個人的にも、最近、目を見張るものは、できっていて、マンネリ化の感じ、これを打ち破る何かが欲しい。
(2) COURSE: Intellectual Property, Copyright, and
Digital Rights Management for Computer Graphics
著作権の概要の紹介と、後半は、特に、DVDのスクランブルについて、問題点と犯罪事例などの紹介があった。
(3) SKETCH: New use for cloth, hair and fire (これは、最後の1件のみ聴講)
3次元の形状に内蔵するように髪の毛を生成して、3次元形状の変形に合わせて、髪の毛も動くというもの。デモでつかったサンプルは、毛が濃すぎて、少々、不気味だった。でも、なんか使えそうな感じも受けた。確か、以前の論文発表を受けたものだ。髪の毛の束は、中空にして、手が抜けるといったものだったような気もしてきた。
- Stylized Flowing Hair Controlled With NURBS Surfaces
(4) SKETCH: Making of Ice Age
映画「アイスエイジ」のドードー鳥の隊列シーンのメーキングの紹介、特にドードー鳥の足の振動運動(ほぼスプリング)のシミュレーションの説明があった。
- Dynamics and Dodos: Rigging and Animation Methods for “Ice Age”
- How a CSG-Based Ray-Tracer Saves Time: Lighting and Scripting for “Ice Age”
(5) SKETCH: Non-photorealistic rendering
日本の大学からペンスタイル関係(パステル、鉛筆、Gペン)で3件と、英国から1件(2Dアニメ風レンダリングで、フィルを、縁線とは別に設定して表現が可能、機械的な変換なので、動きがセルアニメとして見ると、かなり違和感がある)。英国人特有のしゃべり方なのか、偉く単調かつ、重要な点は説明してないが、面白そうな感じを受けた。でも、そのしゃべり方で非常に眠かった。
- Pasrel-Like Rendering Considering the Properties of Pigments and Support Medium
- Automatic Generation of Pencil Drawing Using Line-Integral Convolution
- Rich Curve Drawing
- The World is Flat: Exploiting Screen Space
(6) 展示会: Alias|Wavefront ブースで日本語デモ
Alias|Wavefront社の多喜氏が、同時通訳として、製品デモに参加。もちろん観客は、日本人。
(7) Animation Theater
15分間見ていたら、プロジェクターが故障して、追い出された。後日、再チャレンジ。
(8) Pixarユーザ会
今回、初めて参加。Tシャツをゲット。次期RenderMan 11(2002年のq4リリース予定)の紹介があった。今度は、やっとレイトレースの関数trace()が動くようになるらしい。あと、グローバルイルミネーションも使え ルようになるらしい。個人的に、保守料を後からでも、払っておいて良かった。
(9) シーグラフ東京リセプション
会員全体が、若い人(女性も少なからず)が大半でした。なんとなくいずらい感じだ。ILMの知人と会えた。近くにいた若い女性陣は、ILMよりもスクエアの人に人気があったみたいだ。終了後、OLMの知人、2名と、夕食。
(1) SKETCH: Artificial Intelligence
マイクロソフトが、犬のキャラクタに、感情レベルとして、平常、ストレス、サプライズと分類して、それぞれの評価関数と、それぞれのアクションを設定した試みで、デモの紹介。なかなかいい感じでした。あと、Virtual Human IFなど。
- “Low-Level” Intelligence for “Low-Level” Animation
- Virtual Human Interface: Building an Intelligent Animated Agent
- Toward Visualizing HCI for Immersive Envirnments: The Meta-Situational Tracker
- Lewis the Robotic Photographer
(2) SKETCH: Making of Reign of fire
シークレットラボ&ディズニーアニメーションラボの共同で、映画のメーキングで、ドラゴンが現代の町で大暴れというシーン。ドラコンの皮膚の表現方法について紹介。皮膚の堅いところをそのままに、メジの部分が伸縮するテクスチャ。ファーをつかったうろこの表現、煙や炎のベースモデルを球体するなど。一見、ドラゴンハーツかと思った。
- Inverse Texture Warping
- Dragon Scales: The Evolution of ScaleTool for “Reign of Fire”
- Dynamic Simulation of Wing Motion on “Reign of Fire”
- Digital Pyro for “Reign of Fire”
(3) SKETCH: Pre-production & Pipeline: Doing it Right From the Strat
日本の方が、ストーリーボードに変わる3次元ツールを発表、あと、御花畑をつくる時の話、実写との絡みがあるCM制作の話で、計3件。
- Diorama Engin: A 3D Video Storyboad Editor for 3D Computer Animation
- Probabitility Pain: Controlling Group Characteristics with PDFs
- Performance-Driven Computer Graphics Making Odyssey
(4) PAPER: Human and Animal(最後2件だけ聞けた)
キャラにしゃべらせるときに瞳の動きを、統計的な動きとすると、自然なしゃべり方にみえるとか、最後は、バーチャル環境における感情の変化(脈拍など)の紹介。
- Eyes Alive
- Physiological Measures of Presence in Stressfull Virtual Envirnments
(5) SPECIAL: Spider Man
映画「スパイダーマン」のメーキングの紹介。特に、スパイダーマンがビルの谷間を、ターザンのように渡って行くシーンの実写とCGの連携のシーン。実写の路上とビルの面には、トラッキング結果として3次元情報が付与されている。最後に、いくつかギャグクリップが上映。
(6) Technical Reception
バスで、30分以上の場所で、騎馬隊のパフォーマンスが見られるところで開催。東大西田先生の学生と、中割りについて、雑談した。帰りに、紙のようなディスプレイデバイスをやっている東芝の人にあった。
(7) 展示会、その他
・Avidブースでは、SoftImage/TOONZ 4.6、LineTest 2.0
・あと、sgi OPenGL Performaer 2.5 for Linuxと、Houdini/Apprentice edition CDをゲット。
# あと、残るは、明日1日、かなり疲れてきた(^^;。明日、Non-Photo Graphicsの論文発表があるので、
# 少々、期待
(1) SKETCH: Augmented Reality
今回は、今一つでした。1つは、恐竜の頭部の骨標本にCGで、筋肉や皮膚を付与するもの。AIR-PDAを対象に、エニグマ暗号装置のCGを表示して、ソフトキーボードから入力すると、それに反応して、エニグマのキーボードも動くというデモと、iPaqのカメラで、自分の足を撮って、その足をトラッキングしてサッカーゲームを行うような試みの紹介。最後は、3次元ブロックパズルのトラッキング?の紹介。去年の論文発表程の驚きはない。
- RAPTOR: Towards Augumented Paleontology
- The AR-ENIGMA: A PDA-Based Interactive Illustration
- MARE: Multiuser Augumeted-Reality Envirnment on Table Steup
- Tracking 3D Puzzle Pieces for Collaborative Learning Envirnments
(2) PAPER: Fluid and Fire
ロードオフリングの鉄砲水があるかと思ったら、別のセッションでしたが、今回も、面白いです。1つは、炎で、火と煙の再現た、バーナーの炎の青い部分の再現など。コップついだ水の再現や、ボールが投げ込まれた水槽の水の再現。これは、動きのある部分に重点的にパーティクルを配置するアイディアらしい。あと、2次元での粘性流体のリアルタイムシミュレーションで、リアルタイム動画テキスチャを使って、流れを見やすくするなど。CPUが高速になることで、世の中が変わった一番の分野だと感じた。粘性流体のリアルタイムシミュレーションなど誰が想像したか?
- Physical Based Modeling and Animation or Fire
- Structural Modeling of Flames for a Production Envirnment
- Animation and Rendering of Complex Water Surfaces
-Image Based Flow Visualization
(3) PAPER: Painting and Non-Photorealistic Graphics
スケッチ風にレンダリング(多分リアルタイム)するが、各、ラインを、色々なスタイルに変更が出来る。エッジの抽出など不明だが、かなりいい感じ。このツーンシェアーダが欲しいかな。でも、OpenGL2.0のカスタムシャーダかもしれない。2件は、Octex Texture関係で、伸縮に強いテキスチャということだが、つまらない。最後は、写真に移る被写体の腕とか足に、3次元情報を付与させて、ある程度、動かせるようにする。これは、TIPとも親和性が良さそうだが、根本的な素材のしたぎしらえの面倒くさい部分は、解消されない。
- WYSIWYG NPR: Drawing Strokes Directly on 3D Models
- Octree Textures
- Painting and Rendering Textures on Unparameterized Models
- Stylization and Abstruction of Photographs
- Object-Based Image Editing
(4) その他
・カツーンネットワーク(カチュンカチュン)の一週間のアニメ番組:Ed.Edd'n Eddy, Time Squad, Courage the Dog, Power-Puff Girls, Laboratory, Johnny Bravo, Dragon Ball Z, Grim & Evil, Robot Jones, Casper もっと色々やってそうな感じがするのだが。
・初めて、お土産屋で、スヌーピーグッツを見ました。
・飲料水の値段: コーヒー$1.50、ジュース、$1.00〜$3.00、バドワイザーライト$2.50
# 明日は、米国時間で朝6時に、ホテルを出て、帰路に着く予定です。出社は、30日からの予定。
(1) 帰国
朝6時にタクシーで国際空港へ、AAのカンタには長い列が。今回は、預け荷物の検査があった。ゲートでは手荷物検査です。なんとも時間がかかる。シカゴ空港でも、JALに乗り換えるときに、ターミナルに入るときに手荷物検査、ゲートでも検査。1時間半あった乗り継ぎ時間も、10分しか空かない。ピザーラのピザで、遅い朝食を取って、帰国。成田についくと、混んでいる。荷物がなかなか出てこない、1時間はタイムロス! アキバで、フィルムの現像と買い物をして、帰宅。めでたしめでたし。明日/29は、時差ぼけ解消のためお休み予定。
(2) その他
・この旅行で、メガネレンズに大きな傷が付いた。どこで付いたか見当もつかないが、交換に3万円かかる。
・リバーセンターのビデオ屋で、アニメ「Magic User's Club!」の米国リージョンコードのDVD($24.99)を購入。再生すると、英語と日本語両方が入って、米国リージョンコードだった。
・今回の総費用(推定)は、約50万円(内訳: 飛行機+ホテル+フルカンファレンス登録)でした。為替が馬鹿に成らないくらい変動したが、安くなったのかしら。
以上